業務のやり方を変えたいが、何を入れればよいか分からない。中小企業のご相談で、いちばん多いのはこの段階です。システムを作るのか、既製品を買うのか、そもそも今のやり方を整えれば済むのか。ここが決まらないまま会社を探し始めると、話がかみ合いません。順番として、まず自社に合うものを見極めて、それから相手を探すところまでを書きます。

まず既製品で足りるかを確かめます

最初に確かめたいのは、作らずに済まないかです。

以前と違って、いまは月額数千円から使える業務向けのサービスが、かなりの範囲をカバーしています。販売管理、勤怠、経費、日報。「うちの業務は特殊だから既製品では無理」と言われることがありますが、話を聞いていくと、特殊なのは業務のごく一部で、残りは既製品で足りることが多いです。

作れば、その後もずっと自社で面倒を見ることになります。既製品で8割が足りるなら、残りの2割は運用でしのぐほうが、結局は安く早く済みます。逆に、その2割が売上の作り方そのものに関わっているなら、そこは作る価値があります。

判断の順としては、こう考えるのが現実的です。

  • いまのやり方を整理するだけで解決しないか
  • 既製品の組み合わせで足りないか
  • 既製品に、足りない部分だけ足せないか
  • そこまでやって足りなければ、作る

そもそも新しく作らずに済む方法がないかを先に確かめたい場合は、こちらで段階を整理しています。

業務改善Excelでの管理が限界に近づいたとき、次にどうするか

作ると決めたら相手にはいくつかの型があります

ひとくちにシステム会社と言っても、成り立ちが違います。ざっくり分けると、次のようになります。

向いている案件
大手や元請けの開発会社 規模が大きく、関係する部署も多い案件
地域の受託開発会社 中小企業の基幹業務まわり。相談しながら決めていく案件
個人や少人数の開発者 範囲がはっきりした小さな仕組み、既存システムの改修
パッケージやSaaSの販売会社 やりたいことが既製品でほぼ足りる案件
Webの制作会社 公開側の画面が中心で、社内の処理は軽い案件

どれが優れているという話ではありません。同じ内容を頼んでも、型が違えば見積も進め方も変わります。まず自社の案件がどのあたりかを見当づけると、探す相手が絞れます。

規模が合っていないと双方が苦しくなります

いちばんよくないのは、案件と会社の規模が噛み合っていない組み合わせです。

小さな会社の数百万円の案件を、大きな組織に持ち込むと、担当者が付いても優先度が上がりません。手続きも重く、少し変えたいだけで見積が出てきます。逆に、関係部署が多くて長く続く案件を個人に任せると、体調ひとつで止まりますし、引き継ぎもできません。

発注する側から見て気持ちよく進むのは、自社の案件がその会社にとって「大きすぎず小さすぎない」ときです。相手の実績を見るときは、業種よりも案件の規模感が近いかどうかを見てください。

もうひとつ確かめたいのが、実際に手を動かすのが誰かです。打ち合わせに来る人と、作る人が別の会社ということは珍しくありません。再委託そのものが悪いわけではありませんが、聞いておかないと、伝えたことが伝わらない理由が分からないままになります。

何を作るかより先に誰が決めるかを決めます

発注先を探し始める前に、社内で決めておきたいことがあります。窓口になる人を1名決めることです。

システム開発は、契約してから決めることのほうが多い仕事です。画面の項目、例外のときの扱い、誰がどこまで見られるか。こうしたことを、期間中ずっと決め続けることになります。決める人がいないまま始まった案件は、たいてい途中で止まります。相手を選ぶより先に、ここを決めておくほうが効きます。

その人には権限と時間が要ります。「詳しいから」という理由で若手に任せて、決裁は毎回社長に上げる形にすると、往復のたびに止まります。

相見積は条件をそろえないと比べられません

複数社から見積を取ること自体はよい方法です。ただ、渡す資料が違うと、返ってくる見積も比べられません

A社には口頭で説明し、B社には資料を渡した。この状態で金額だけを見ると、たいていA社が安く見えます。聞いた範囲でしか見積もっていないからです。安く見えたほうを選ぶと、後から追加が出ます。

最低限、同じものを渡してください。

  • いまの業務の流れ(手書きのメモでも構いません)
  • 使っている帳票や画面の実物
  • 使う人数と、想定している予算の幅
  • いつまでに動かしたいか
  • 今回やらないと決めていること

予算を伝えると足元を見られる、と心配される方がいますが、伝えないほうが不幸になります。予算が分からないと、相手は無難に広めの見積を出すしかありません。金額を伝えたうえで「この範囲で何ができるか」を聞くほうが、実のある提案が返ってきます。

受け取った見積の見方については、こちらに書きました。

IT導入システム開発の見積が高いと感じたら、契約前に確かめたいこと

よくある失敗を先に挙げておきます

これまでのご相談で見かけたものを並べます。

  • 知り合いの紹介だけで1社に決め、比べる材料がないまま契約する
  • いちばん安い会社を選び、足りない部分が追加費用になる
  • 作る会社を決めてから、何を作るかを考え始める
  • 保守を誰がやるか決めないまま、作り終えてしまう
  • 相手に任せきりにして、動くものを見ないまま完成を迎える

最後のものが、いちばん多いかもしれません。途中で動くものを見せてもらい、意見を返すところまでが発注する側の仕事です。作っている側も、そのほうが助かります。

迷う段階でご相談ください

グレジャーでは岡山を中心に、香川県や広島県福山市も含めて、発注する前の整理から、ベンダーとの打ち合わせへの同席までをお手伝いしています。開発を請け負う立場ではないので、御社の側に立って判断の材料をそろえられます。

何を入れるか決まっていない段階でも構いません。やりたいことを伺えば、既製品で足りるのか、作る必要があるのか、どの型の会社に当たるとよいかまで整理できます。まずは現状をお聞かせください。