Google Workspaceには、無料で使えるEssentials Starterというプランがあります。ご相談でこの名前を出すと、たいてい「知らなかった」と言われます。自社ドメインのメールアドレスをすでに持っている会社なら、費用をかけずに、社内でファイルを共有する場所と、時間制限のないオンライン会議を持てます。メールは今のままで構いません。この記事では、Essentials Starterで使えるものと使えないもの、向いている会社、無料ゆえに残る問題を書きます。内容は2026年9月時点のGoogleの公式ヘルプをもとにしています。
自社ドメインのメールがあれば無料で始められます
Essentials Starterの条件は一つで、自社ドメインのメールアドレスを持っていることです。@gmail.comでは申し込めません。会社のメールがレンタルサーバーや業者の管理で動いていて、アドレスが「氏名@会社名.co.jp」の形になっていれば、それで足ります。
申し込みは会社の代表者か担当者のメールアドレスで行い、その人が管理者になって、同じドメインのアドレスを持つ社員を招待していきます。試用期間ではなく、期限なしで無料です。クレジットカードの登録も要りません。
なお、有料の旧「Essentials」は新規の申し込みを終えていますが、無料のEssentials Starterは続いています。名前が似ているので、公式ページで確かめるときは「Starter」まで見てください。
使えるものと使えないものはこうなります
| 内容 | |
|---|---|
| 使えるもの | ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、Meet、Chat、カレンダー、フォーム、Keep、サイト |
| 容量 | 1人15GB |
| Meet | 100人まで、最長24時間 |
| 人数 | 1チーム100人まで |
| 使えないもの | Gmail、共有ドライブ、Meetの録画、問い合わせできるサポート |
いちばん大きいのは、Gmailが含まれないことです。メールは今のまま、ファイルと会議だけをGoogleに移す、という形になります。
もう一つ見落としやすいのが、共有ドライブがないことです。ファイルは各自のマイドライブに置き、共有して使うことになります。これが何を意味するかは、退職の節で書きます。
向いているのはメールを移したくない会社です
Essentials Starterが合うのは、次のような会社です。
- メールは今の業者のままで困っていない
- ファイルの置き場がばらばらで、共有の仕組みだけ欲しい
- オンライン会議を無料版のGoogle Meetでやっていて、60分の制限に困っている
- Google Workspaceを本格的に入れる前に、社員がGoogleのツールに慣れるか試したい
メールを移すのは手間がかかります。どこで動いているかを確かめるところから始まり、移す日を決め、全員の設定を変える作業があります。そこは後回しにして、まずファイルと会議だけ整える、という順番が取れるのがこのプランの使いどころです。メールを移す話は、こちらに書いています。
IT導入会社のメールはどこで動いているのか、4つのパターンと確かめ方
共有ドライブがないので退職の問題は残ります
正直に書くと、ここがEssentials Starterの弱いところです。
共有ドライブは、ファイルの持ち主が個人ではなく会社になる仕組みです。Essentials Starterにはこれがないので、ファイルは作った人のマイドライブに置かれます。会社のファイルを共有して使っていても、持ち主は個人のままです。
その人が辞めるとき、チームの管理者はその人をチームから外せますが、マイドライブの中身を会社に移す仕組みは限られています。無料のGoogleアカウントで仕事をしていたときの「辞めた人のファイルが会社に残らない」問題が、形を変えて残ります。この問題は、こちらに詳しく書きました。
IT導入無料のGoogleアカウントを会社で使ってはいけないのか
対策は、社員が辞める前にファイルの持ち主を管理者に移してもらうことです。ただ、これは本人の協力が前提で、急な退職には間に合いません。会社のファイルを本当に会社のものにしたいなら、共有ドライブのあるBusinessプランが要ります。
Businessに上げるのはメールを移すときです
Essentials Starterから有料のBusinessプランに上げるタイミングは一つです。メールをGoogleに移すと決めたときです。Gmailが必要になるので、Businessプランに切り替えることになります。
そのとき、共有ドライブも一緒に手に入ります。Essentials Starterで各自のマイドライブに溜まっていたファイルを共有ドライブに移せば、持ち主が会社に変わります。切り替えの前に、どのフォルダを共有ドライブに移すかを決めておくと、移った日から整った状態で使えます。
Essentials Starterで社員がGoogleのツールに慣れていれば、Businessに上げたときの抵抗は小さくなります。無料で始めて、メールを移す段階で有料にする。この順番は、費用の面でも社内の慣れの面でも無理がありません。有料プランの選び方はこちらに書いています。
IT導入Google Workspaceが向いている会社と無料のままでよい会社
グレジャーでは岡山を中心に、Google Workspaceの導入から社内への定着までをお手伝いしています。ライセンスは販売していないので、Essentials Starterで足りる会社にはそうお伝えします。無料で始めてよいのか、最初からBusinessにすべきか、いまの使い方を伺いながら一緒に整理できます。

