Google WorkspaceやMicrosoft 365のご相談で、「いま会社のメールはどこで動いていますか」と伺うと、多くの会社で答えが返ってきません。「Outlookで見ています」という答えはよくいただきますが、それは見ているソフトの名前で、動いている場所ではありません。この記事では、会社のメールが動いている場所の考え方と、中小企業に多い4つのパターン、自社がどれかを確かめる手順を書きます。

メールはドメインとも見ているソフトとも別の場所で動いています

会社のメールには、3つの別々のものが関わっています。

ドメインは住所、メールサーバーは郵便受け、メールソフトは見に行く道具。ドメインの設定で届け先の郵便受けを指定し、メールソフトがそれを見に行く関係を示した図

役割 何か
ドメイン メールアドレスの@の後ろ。会社の住所 example.co.jp
メールサーバー メールが届いて溜まる場所。会社の郵便受け レンタルサーバー、Google Workspace など
メールソフト 郵便受けを見に行く道具 Outlook、スマホのメールアプリ、Gmailの画面

ドメインの設定の中に「このドメイン宛てのメールは、この郵便受けに届ける」という指定があります。メールを移すというのは、この指定を書き換えて、郵便受けの場所を変えることです。住所は変わらず、郵便受けだけが変わります。

ドメインを誰が持っているかは、こちらに書きました。

IT導入会社のドメインは誰のものか、名義と管理画面の確かめ方

Outlookで見ているからMicrosoftとは限りません

よくある誤解です。Outlookは郵便受けを見に行く道具で、郵便受けがどこにあっても使えます。レンタルサーバーのメールをOutlookで見ている会社はたくさんあります。

逆も同じです。スマホのGmailアプリで会社のメールを見ていても、郵便受けがGoogleにあるとは限りません。Gmailアプリは他の場所の郵便受けも読めるからです。

見ているソフトの名前で判断すると、契約していないサービスに問い合わせたり、すでに使えるものを二重に契約したりします。動いている場所は、ソフトではなく設定で確かめます。

中小企業のパターンは4つです

パターン よくある形 見分け方
制作会社やIT業者が管理 ホームページを作った業者が、自社のサーバーや契約でメールも預かっている 請求書に「保守」「サーバー管理」のような項目がある。設定は業者しか知らない
レンタルサーバーに同居 会社が自分で契約したレンタルサーバーに、ホームページとメールが一緒に入っている メールソフトの受信サーバー名がレンタルサーバーの業者の名前になっている。請求がその業者から会社に来ている
プロバイダのメール 回線を契約した会社のメールをそのまま仕事に使っている アドレスが自社ドメインではなく、プロバイダのドメイン
すでにGoogle WorkspaceかMicrosoft 365 過去に誰かが契約している 管理コンソールにログインできる人がいる。請求がGoogleかMicrosoftから来ている

岡山でご相談を受ける中小企業に多いのは、1つ目の制作会社やIT業者が管理しているパターンです。ホームページを作ったときに、業者の契約の中でメールも一緒に設定され、そのまま保守費に含まれています。会社側は請求書を払っているだけで、どこで動いているかも、設定をどう変えるかも知らないことがふつうです。ふだんは困りませんが、容量が小さい、迷惑メール対策が弱い、スマホで見づらい、などの不満が出てきたときに、移す話になります。

このパターンでは、メールを移すときに業者の協力が要ります。ドメインの設定を変えるのも、古いメールを取り出すのも、業者の手元にあるからです。保守契約をやめる話と一緒になることが多いので、先に契約書を見て、メールとドメインの扱いを確かめておきます。

業者が協力してくれない場合でも、打つ手はあります。古いメールは、社員のパソコンに来ている分を自分たちで退避できます。Outlookなどのメールソフトからファイルに書き出すやり方と、Google Workspaceの管理画面にある移行の機能で古いサーバーから直接吸い上げる方法があり、どちらも業者に触れずにできます。必要なのは古いサーバーの名前と各自のメールのパスワードで、これはメールソフトのアカウント設定に入っています。揉める前に控えておくと安心です。

業者頼みになるのは、ドメインの設定を変えるところだけです。ドメインの名義が会社なら、別の業者へ移せます。元の業者が止めることはできません。名義が業者になっている場合の対処は、上のドメインの記事に書いています。

3つ目のプロバイダのメールは、自社ドメインではないので、回線を変えるとアドレスも変わります。この状態で仕事をしている会社は、まずドメインを取るところからになります。

自社がどれかはホームページを作った会社に聞けば分かります

「うちのメールはどこで動いていますか」と聞けば、答えが返ってきます。メールの契約先、月々の費用、設定を変えるときに誰が触るのか、もあわせて聞いておくと、あとの話が早いです。

聞ける相手がいない、答えが曖昧、という場合は請求書を探します。メールの費用がどこから請求されているかで契約先が分かります。

移すときは切り替えた時点から新しい場所に届きます

メールを移す作業は、ドメインの設定を書き換えた時点で切り替わります。それ以降に届くメールは新しい場所に入り、古い場所には届きません。切り替えの前後は、両方を見ておく期間を取ります。

過去のメールは自動では移りません。古い郵便受けに溜まっていたものは、そのまま古い場所に残ります。持っていきたい場合は、移行の作業が別に要ります。Google WorkspaceにもMicrosoft 365にも移行の道具がありますが、量が多いと時間がかかります。どこまで持っていくかは、先に決めておきます。

もう一つ、社員のパソコンとスマホのメールソフトの設定を、全員分変えることになります。人数が多いほどここに時間がかかります。切り替えの日を決めて、その日に全員が設定を変えられるよう、手順を先に配っておくと混乱が減ります。

移す前に決めておくのは3つです

  • ドメインの管理画面に、会社の誰が入れるか
  • 切り替えの日と、その前後に両方を見る期間
  • 過去のメールをどこまで持っていくか

この3つが決まっていれば、移す作業そのものは難しくありません。決まっていないまま始めると、切り替えた日に「メールが来ない」「昔のメールが見えない」という声が同時に上がります。

移す先をGoogle Workspaceにするかどうかで迷っている場合は、こちらもあわせてどうぞ。

IT導入Google Workspaceが向いている会社と無料のままでよい会社

グレジャーでは岡山を中心に、Google Workspaceの導入から社内への定着までをお手伝いしています。いまのメールがどこで動いているか分からない段階からでも、一緒に確かめるところから始められます。