朝いちばんに売上の表を開いて、数字を社長にメールで送る。ホームページのフォームに問い合わせが来たら、担当者に転送する。月末に請求書をPDFにして送る。こういう毎日の手作業は、Google Workspaceの中に最初から入っている仕組みで自動にできます。プログラムを書ける人が社内にいなくても、いまは生成AIに書かせる会社が増えています。この記事では、何が自動にできるのかを実際に組んだ例で書き、無料のGoogleアカウントとの上限の違いも整理します。
毎日の手作業は自動にできます
中小企業の事務で、人が毎日やっている作業を並べてみます。
- 朝、スプレッドシートの数字を見て、社長や現場にメールで送る
- フォームに問い合わせが来たら、内容を見て担当者に転送する
- 期限が近い案件を探して、担当者に声をかける
- 月末に、請求書をPDFにして取引先ごとに送る
- 毎週同じ予定を、全員のカレンダーに入れる
- 新しい案件が決まったら、ドライブに決まった名前のフォルダを作る
どれも難しくはありませんが、毎日やると積み上がります。忘れると困るものも多いです。これらはすべて、Google Workspaceの中で自動にできます。
自動化の一部は設定だけでできます
プログラムを書かなくても、設定だけで自動になるものが結構あります。
- フォームの回答をそのままスプレッドシートに溜める。フォームを作るときに送信先を指定するだけです
- 条件に合った行に色を付ける。期限が過ぎた行を赤にする、という設定はスプレッドシートの機能でできます
- カレンダーに予約枠を作る。相手が空いている時間を選んで入れられます
- メールを条件で振り分ける。件名や差出人で自動的にラベルを付け、転送します
ここまでは、Googleの画面で設定するだけです。まずここで足りるかを見ます。
設定で届かない自動化はApps Scriptという仕組みでやります
設定だけでは届かないものがあります。「フォームの回答が来たら、内容を台帳に転記して、担当者にChatで知らせる」のように、いくつかの動きを繋げるものです。
これをやるのが、Apps Scriptという仕組みです。Google Workspaceの中に入っていて、スプレッドシートやメール、カレンダー、ドライブを動かす短いプログラムを書けます。追加の契約は要りません。スプレッドシートのメニューから開けます。
プログラムを書ける人がいなくても、いまは生成AIに書かせられます。「このスプレッドシートの期限の列を見て、今日を過ぎている行をChatに送って」と日本語で頼めば、動くものが返ってきます。
弊社が実際に組んだ自動化の例です
弊社で組んだ例を一つ、細かいところはぼかして書きます。社員が日中は外に出ていることが多い会社で、お客さんと案件の管理がExcelと紙と担当者の頭の中に分かれていました。
作ったのは、スプレッドシート1枚とフォーム1本です。
- 台帳。お客さん、案件、対応の履歴をシートに分けました。案件ごとに「次にやること」と期限を入れておくと、期限が過ぎた案件と今週が期限の案件が、先頭のシートに自動で並びます
- 対応を記録するフォーム。外から戻る途中に、スマホから30秒で記録します。どの案件か、誰が、電話か訪問か、話した内容、次にやること、その期限。送信すると台帳の履歴に入り、案件の「最後に連絡した日」が自動で更新されます
Apps Scriptがやっているのは、フォームの選択肢を台帳の進行中の案件で自動的に入れ替える、案件ごとにドライブのフォルダを決まった名前で作る、といった部分です。社長が見るのは先頭のシートだけで、「期限が過ぎているもの」「今週やること」がそこに出ています。
作るときに時間をかけたのは、スクリプトの中身より、何をどのシートに持たせるかの設計と、フォームの項目を外にいる人が30秒で埋められる数に絞ることでした。
無料のGoogleアカウントでも動きますが上限が違います
Apps Scriptは、個人の無料のGoogleアカウントでも使えます。ただし、1日に動かせる量の上限がGoogle Workspaceと大きく違います。公式の割り当ての表から、引っかかりやすいものを抜き出します。
| 1日の上限 | 個人のGoogleアカウント | Google Workspace |
|---|---|---|
| スクリプトからのメール送信(宛先数) | 100 | 1,500 |
| 外部サイトへのアクセス | 2万回 | 10万回 |
| 自動実行の合計時間 | 90分 | 6時間 |
| スプレッドシートの作成 | 250 | 3,200 |
たとえば「毎朝、全社員と協力会社の100人に日報を送る」を個人のアカウントで組むと、初日で止まります。Google Workspaceなら、この上限はプランに関係なく、いちばん安いBusiness Starterでも同じです。
Gmailそのものの送信数も違います。個人は1日500通、Google Workspaceは1日2,000通です。
Google Workspaceでも最初の数か月は上限が低いままです
見落とされやすい点です。Google Workspaceを契約した直後は、試用期間中と、支払いの累計が100米ドルに達するまで、送信の上限が1日500通に抑えられています。上がるまで最長で75日かかります。
導入してすぐに「全顧客にお知らせを一斉送信する」仕組みを組むと、有料なのに止まります。大量の送信は、契約から3か月ほど経ってから組むか、最初は人数を絞って始めます。
自動化の仕組みは会社のものとして残します
自動化で先に決めておきたいのが、仕組みを誰のものとして置くかです。スクリプトは、作った人のアカウントに紐づいて動いているためです。
個人のGoogleアカウントで作った仕組みは、その人が辞めてアカウントが使われなくなると止まります。「担当者が辞めたら、毎朝の集計メールが来なくなった」はこの形です。誰も中身を知らないので、直せません。
Google Workspaceでも、社員のアカウントで作ったものは、そのアカウントを止めると止まります。対策は、スプレッドシートを共有ドライブに置くことと、自動実行の設定を後任がやり直すことの2つです。辞めるときに引き継ぐ項目として、最初から決めておきます。無料のアカウントで仕事をすると何が会社に残らないかは、こちらに書きました。
IT導入無料のGoogleアカウントを会社で使ってはいけないのか
会社として管理できるのはGoogle Workspaceだけです
生成AIでスクリプトを書ける人が増えると、社内のあちこちで自動化が始まります。便利な反面、会社が把握していない仕組みが増えます。
Google Workspaceには、会社側でこれを管理する機能があります。
- 全社でApps Scriptを使えるかどうかを決められる
- 誰がどのスクリプトを作り、動かしたかがログに残る
- スクリプトが外部のサービスにアクセスするのを制限できる
個人のアカウントには、この機能がありません。社員が各自で自動化を始めている会社ほど、会社として見える場所に集める必要があります。データを一か所に溜めることが生成AIの活用でも効く話は、こちらに書きました。
生成AI活用生成AI時代にGoogle Workspaceを勧める理由
グレジャーでは岡山を中心に、Google Workspaceの導入から社内への定着までと、その上での自動化の設計をお手伝いしています。「うちの毎日のこの作業は自動にできるか」の段階のご相談で構いません。いまの手作業を伺いながら、設定で済むものとスクリプトが要るものを一緒に切り分けます。

