議事録AIをどう選べばよいか、というご相談をいただくことがあります。比較でよく並ぶのは、文字起こしできる時間と料金です。どちらも実際に効いてくる条件ですが、使い続けられるかどうかを決めるのは、録った後にどう使うかのほうだと感じています。自分の使い方も何度か変わってきたので、その話を書きます。

精度や時間で比べても差がつきにくいです

はじめに、比較表に並ぶ項目の話を片付けておきます。

いまの文字起こしは、静かな部屋で数人が順番に話す場面なら、どれも実用になります。結果を左右しているのは、サービスよりも録音の環境のほうです。マイクからの距離、部屋の反響、参加人数。同じサービスでも、会議室を変えただけで変わります。

つまり、カタログの数字を並べても選びきれません。自社の会議で一度試すのがいちばん早く、そのうえで見るべきなのは録った後のほうです

録音した音声がどこへ行くかを確かめます

次に確かめたいのが、録音した内容の扱いです。

会議の音声には、顧客名や取引条件、人事の話まで入ります。社内の書類より機微な内容が含まれていることも珍しくありません。入力した内容が学習に使われない設定になっているか、法人向けの契約があるか、管理者側で誰の記録かを把握できるか。このあたりは、導入前に確認しておく必要があります。

判断の考え方は、生成AIの社内ルールをつくるとき、見落としやすいことに書いたものと同じです。扱う情報がどれくらい機密かと、使うサービスがどう守られているか。この二つを掛け合わせて決めます。とくに客先との打ち合わせを録る場合は、先方の許諾も別の話として残ります。

録れてもあとで使えなければ続きません

ここが、いちばん見落とされていると思うところです。

私も以前、ボイスレコーダー型の議事録AIを使っていたことがあります。録音と文字起こしはできました。ただ、書き起こしを直すのが面倒で、過去の記録を探すのも大変で、内容を他の資料に使い回すこともしにくい。結局、ただのボイスレコーダーとしてしか使わなくなりました。

そのあとしばらくは、ボイスレコーダーで録音して、その音声をNotebookLMに読み込ませて記録を残し、議事録に使う、というやり方をしていました。これはこれで動きます。ただ、録る、移す、読み込ませる、貼り付ける、という手作業が毎回ついて回ります。

選ぶときに見るべきなのは、文字起こしの精度ではなく、この後工程です。直しやすいか、あとから探せるか、他の用途に持っていけるか。ここが弱いと、精度がいくら高くても使わなくなります。

打ち合わせの前後まで含めて考えます

いまは自社で開発しているリアルタイム議事録AI「MeetMate」で、打ち合わせにまつわるものをまとめて管理しています。実際の一日の流れは、こうなっています。

打ち合わせの前に、前回の会話を見返して、残っているタスクを確認します。場合によっては、振り返り用にグラフィックレコーディングを印刷して当日お配りします。

打ち合わせ中は、そのまま録音します。文字起こしと要約がその場で進むので、話しながら画面で確認できます。出てきた助言を見ながら進めて、最後に決まったことの確認をその場で行います。この「終わる前に締める」ができると、後の作業がかなり減ります。

打ち合わせが終わると、議事録とグラフィックレコーディングはもう出来上がっています。処理を待つ時間がないので、その場でお見せして、記憶が新しいうちに認識を合わせられます。そのまま出てきた課題やタスクを登録します。宿題として資料作成が残った場合は、Claudeから打ち合わせの内容を直接取得して、そのまま資料を作ります。

手でコピーして貼り付ける作業がほとんど無いので、とにかく楽です。以前のやり方と比べると、道具の性能が上がったというより、前後がつながったことのほうが大きいと感じています。議事録AIを選ぶときは、録音の瞬間だけでなく、この前後まで含めて見ることをお勧めします。

向いていない使い方もあります

正直に書いておくと、向かない場面もあります。

大人数が集まる広い会議です。外付けのマイクを使えば録ること自体はできますが、そもそも想定している使い方ではありません。声が遠い人が出てきますし、発言が交錯すると誰の言葉かも曖昧になります。

議事録AIが効くのは、少人数の打ち合わせです。数人で顔を突き合わせて、決めることを決める。そういう場のほうが、はっきり効果が出ます。全社の会議を録ることから始めようとして、うまくいかずにやめてしまうのは、もったいないと思います。

まず会議をひとつ決めて試すのがよいと思います

導入するときは、全社に配る前に、会議をひとつ決めて試すことをお勧めします。毎週あって、少人数で、決めごとが出る打ち合わせが向いています。

そこで、文字起こしがどれくらい直しが要るか、要約を誰が確認するか、記録をどこに残すかを決めてしまう。この形が固まってから広げるほうが、結果的に早く根づきます。逆に、決め方が固まらないまま全社に配ると、導入したのに使われない状態になりがちです。

無料で試せる範囲があるので、まず週に一度の打ち合わせで使ってみる、という始め方ができます。合わなければやめれば済む形にしてあります。

グレジャーでは岡山を中心に、こうした会議まわりの見直しやツールの選定もお手伝いしています。自社でも議事録AIを開発・運営しているので、使う側だけでなく、作る側から見た向き不向きもお伝えできます。まずは現状をお聞かせください。