DX推進指標で診断できる!ウチの会社、DXレベルはどれくらい?
デジタル化、IT化と続いて現在声高に上がる「DX(デジタル トランスフォーメーション)」。中小企業だから関係ない、自社のビジネスには不要なもの、そんな風にお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
DXという言葉が生まれた当時はともかく、現在では、DXの取り組みは「一部企業が行う先進的なもの」ではなく、「すべての企業で対応しなければならないもの」に変わりつつあります。まずはDX推進指標で診断して、現状の確認と必要な取り組みを確認してみませんか?
この記事では、経済産業省が勧めるDX推進指標による診断について説明します。DX推進指標の概要や診断結果の傾向、活用方法と自己診断に関する情報を載せていますので、ぜひ最後までお読みください。
DX推進指標とは?
DX推進指標とは、平たく言えば企業が行うビジネスのデジタル化・IT化を進めるために、現状をチェックできる診断項目です。
DX推進指標について案内しているIPA(独立行政法人情報処理推進機構)のページには、以下のように書かれています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向けた現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげるための気付きの機会を提供するもの
(引用元:IPAWebサイト)
経済産業省(以下経産省)が企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるために、令和4年に取りまとめた要諦集「デジタルガバナンスコード2.0」の中にも位置づけられています。
企業におけるDXの進行度を測るために、ひとつのモノサシとして、DX推進指標を使うことができるのです。
DX推進指標の診断項目を見てみましょう
DX推進指標は大きく「DX推進のための経営のあり方、仕組みについて」と「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」に分かれています。それぞれの下で各項目が定性指標・定量指標で分けられており、合計38項目の診断を行います。各項目で現在の状況と3年後の目標を定め、記録していく方式です。
DXに関係する取り組みとしてイメージしやすいのは、「ITシステムの構築」といった物理的・ハード面の取り組みでしょう。
実際には、ビジョンへの反映や人材育成など、精神性・方向性といったソフト面での重要度が強く訴えられています。
各項目について、もう少し詳しくチェックしてみましょう。
DX推進のための経営のあり方、仕組みについて
「DX推進のための経営のあり方、仕組みについて」は、「DX推進の枠組み(定性指標)」と「DX推進の取組状況(定量指標)」についての問いかけです。
前者の定性指標としては、ビジョンやマインドセット、人材育成など経営方針の中におけるデジタル技術などの位置づけについてを扱っています。
後者の定量指標としては、「DXによる競争力強化の到達度合いを表すもの」と「DXの取組そのものの進捗を表すもの」について、各企業で選択し目標値を設定することとされています。
例として、「DXによって製品開発スピードを上げる」、「DXとして導入したデジタルサービスを利用する顧客の割合」などがあります。
DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築
「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」は、「ITシステム構築の枠組み(定性指標)」と「ITシステム構築の取組状況(定量指標)」についての問いかけです。
前者の定性指標としては、社内外を問わずビジネスに用いられるシステムが最善であるか、資産とも言えるデータも含めた管理体制や関連する施策について扱っています。
後者の定量指標としては、ITシステムの構築における取組状況について、各企業の判断で目標数値を設定することとされています。
例としては、ランニングコストや環境向上に関する予算の数値、DXの実行を担える人員体制などがあります。
DX推進指標の診断結果はどんな感じ?
自社の結果は実際に診断するまで分かりませんが、各社におけるDX推進指標の診断結果については、レポートが公開されています。
レポートでは、全38項目のうち定性指標35項目が対象となっており、3,956件の報告件数をベースにしたデータが掲載されています。
以下に、2022年のレポート結果でまとめられている全国の傾向についてご紹介していきます。ご参考にどうぞ。
参考元:DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2022年版)
補助金の要件となっていることで、過去最多に
2022年は、ものづくり補助金の申請要件にDX推進指標の結果報告が追加となったことで、回答企業数が3,956件と過去最多になりました。
特に、「従業員規模が20人未満の中小企業による回答件数が、74倍(2,370件)に激増している」状態です。
行政もDXを強く推し進めており、今までDXを意識していなかった企業としても、注力せざるを得ない状況がうかがえます。
DX推進が進んでいる企業ばかりではない
2022年のデータでは、回答数が激増した影響もあり、診断結果の平均スコアが下がりました。
これはつまり、DXの取り組みが不足していて、これから進める企業もまだまだ多いということを示しています。
今からDXに取り組むことで、十分に競合他社との差別化が可能です。
診断&チェックを毎年している企業はスコアが高くなる傾向
診断結果の収集レポートは2019年分から記録されていますが、連続で提出している企業では、全ての指標で向上が見られます。
IPAの分析によると、2年連続は141社、3年連続は50社が対象です。診断を定期的に行い継続することで、現状や課題を把握し、着実に取り組みを進められることが証明されていると言えるでしょう。
診断結果の使い道は?
自社に対して行ったDX推進指標の診断結果は、以下の3点に用いることができます。
- 自社のDX進行度を他社と比較できる
- 社内のDXを強化する
- DX認定を受ける
他にもメリットとして、診断する過程で、自社のDXの進行度が明確になるでしょう。異なる視点での業務の棚卸となるため、今まで気づかなかった改善点も発見できます。
診断結果を生かす方法については、以下で詳しくご紹介します。
自社のDX進行度を他社と比較できる
診断結果として算出されるスコアは、ベンチマークデータを利用することで、さらに正確に他社との比較を行えます。
DX推進指標の結果をIPAに報告・回答すると、専用サイト「DX推進ポータル」にアクセスできます。サイト内に掲載されているExcelファイルに自社のスコアを入力すると、全体との比較・同業種内での比較グラフが見られるのです。
業界内の傾向や、類似の規模で取り組んでいる内容が分かれば、さらにDXの取り組みを進めやすくなるでしょう。自社の強みや強化すべき点の分析にも役立ちます。
社内のDXを強化する
DXの診断項目とは、つまるところ「DXを進行する際の重要ポイント」でもあります。スコアとして満たしていないところを強化するか、強化できている点をさらに伸ばしてリードしていくか、施策を考える材料になるでしょう。
DX認定を受ける
DX推進指標の診断結果は、「DX認定」を申請する際にも活用できます。
DX認定の申請に必要な項目は、大きく分けて8つあります。DX推進指標の診断結果は、Webサイトでの入力もしくは診断ファイルの提出によって「(5) 実務執行総括責任者が主導的な役割を果たすことによる、事業者が利用する情報処理システムにおける課題の把握」の項を満たすことができるのです。
DX認定については、他の記事でも詳しく扱う予定です。公開まで少々お待ちください。
DX推進指標は自己診断で完結できる?
DX推進指標は、自己診断を前提として作成されています。様式もガイダンス(資料)も、Webサイトからダウンロードするだけ、入力するだけになっています。
ただ、正確に作って活かすためには、プロの力を借りるのが最速です。ガイダンスの中でも、専門家によるサポートの有用性が認められています。自己診断が困難な理由を、以下に挙げます。
- ガイダンスはあるが、50ページを超えており、把握に時間がかかる
- 特定の業界・企業に絞ったものではないため、自社の状況と結びつけて考えるのが難しい
- 漠然とした問いかけで、回答に悩む項目もある
DX推進指標は「カンタンにできる診断」ではありませんが、これからの未来も活躍していく企業としては欠かせない内容になっています。まだ診断を行ったことが無い場合は、ぜひ一度、DX推進指標で診断してみてください。
グレジャーの『DX診断サポート』
グレジャーでは、DX推進の伴走者として、DX推進指標による診断のサポートを行っております。
システムエンジニアの経験をもとに、中小企業診断士の目線で、貴社にとって最適となるようお手伝いいたします。診断結果作成後の活用やDX認定の取得についてもお任せください。
グレジャーは岡山を拠点に、瀬戸内海周辺の地域でみなさまのサポートをしております。ぜひお気軽にお問い合わせください。